Mount & Blade II: Bannerlord - やるなら軍師

Mount & Blade II: Bannerlord。自分が思うにこのゲームの魅力は「責任感の無さ」。

ゲームを始めると(チュートリアルを終わらせるかスキップすると)主人公は一人ポツンと放り出されます。
「大きい軍隊を作ろう」「各々の国を調べよう」といった誰に頼まれたわけでもないクエストがあるだけで、プレイヤーにこれといった使命はありません。一方、マップを行き来する軍勢や商隊は明確な目的を持って能動的に動いています。

「何をしてもいい!」と喧伝される自由度の高いゲームは実のところやらざるを得ないことが多々あります。Bethesda製RPGなら世界のあちこちにメインクエストの始動を待つ人々がいるし、Minecraft等のクラフトゲームは自分が動かなければ世界は静止したまま。何をしても自由だけど、全ての命運はあなたの肩にかかっているよ・・・この脅迫めいた自由に疲れたなら、Mount & Bladeをやりましょう。この世界では誰もあなたに期待していない。



適当にその辺の村から20人ほど雇って私兵集団を作る。給料と食事くらいは用意してやるが、責任を負うのはそこまで。
雇う際にもし「この乱れた世を正すために有志が集まった!」なんてフレーバーテキストの一つでもあれば正義のために山賊退治くらいしかできなくなりますが、そんなものは無いので堂々と商隊を襲わせたり村を焼き払わせたりできます。
「家族を食わせるために戦います」なんて一言発したら一人一人の死が悲劇になりますが、何も言わないので死者数は統計上の数字にしかなりません。
彼らの命や精神に対して何ら気にかける必要は無いのです。



稼ぎが物足りなくなったら適当な王国に仕官できます。他国の領地を荒らそうが敵の将軍を売り飛ばそうが王国としてやったことなので個人に責任は及びません。
かのコーエーの名作・太閤立志伝に代表されるように、中間管理職ゲームは楽しい。思うがままに兵を揃えて、領地を開発し、ケツ持ちは国王。もし国が滅んでもゲームオーバーにはならないし、上の連中がアホだっただけで俺は悪くねえ。プレイヤーはややこしいことを考えずに「王国最強の○×騎士団だ~~」みたいなシチュエーションを楽しむだけでいい。



やろうと思えば独立し、自分が王となることも可能。ですが大陸を統一するかどうかはお好みで。
大半の戦略SLGは他の勢力を蹴落として1位になるのが目標であり、それ以外に価値はありません。史実では日本の戦国時代において天下統一にさほど興味がない大名も多かったと聞きますが、実際に信長の野望で地方でひっそり暮らしていたら、敵勢力が勢力拡大して詰みます。
が、そうではないゲームもあります。例えばこのゲーム。NPCの勢力拡大が遅く、取って取られてを繰り返すためなかなか大勢力が生まれません。それはヌルいだけじゃない?と思うかもしれませんが、こういうゲームはクリアではなくシチュエーションを楽しむもの。ゲームシステムとしての勝利条件に追われることもなく、生存のための戦いに全力を出す必要もなく、とある一国の王という肩書を楽しみましょう。




そうやって順当に強くなると守るべきものが多くなります。領地、諸侯、キャラクター性を主張するコンパニオン。時間とお金をかけて鍛え上げた兵士。なんかめんどくさくなってきたな・・・



そうなったら勢力を畳み、王国を脱退し、遠い国の農村で兵士を雇って、山賊や商隊を襲って暮らせばいい。
Mount & Bladeは辛いことがあれば逃げていい。そんなゲームです。

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